導入した機械が、正常に動いているのに、なぜか使われなくなっていく現場があります。
時短設計®士 けたろーです。
省力化の本質は、時間をつくることだと思っています。 でも、時間ができたからといって、何かが変わるわけじゃない。 大事なのは、その「生まれた」時間で何を考えるか。 あるいは、何に気づくか…。
このブログは、そのための「余白」のつもりで書いています。
さて、今回の記事は…
機械は動いていた。でも、いつの間にか使われなくなった
以前、自動化の機械を導入いただいた現場がありました。
機械そのものは、正常に動作していました。 故障していたわけでも、性能が足りなかったわけでもありません。
ただ…。 社内では、自動化を進めたい社長と、従来の手作業を大事にしたい工場長との間に、打ち合わせの段階から意見の隔たりがあり、そんな状況の中での納入だったんです。
結果的に、機械はいつの間にか使われなくなり、現場は手作業に戻ってしまったようです。 詳しい経緯は、大青鉄工サイトの別記事に書いています。
機械は、ちゃんと動かせた。 でも、それだけでは足りなかった…。 ということなんです。

一方で、「楽になった」と言ってもらえた現場もある
別の現場では、こんなことがありました。
ロスも減って、生産効率が上がって、「楽になりました」と言ってもらえることもあります。 ボクとしても、嬉しい言葉です。 機械化の主たる目的は、作業性を改善し、生産効率をあげることだから、こっちの言葉の方が多いです。
ただ、正直に言うと、楽になったのは確かなのだけど、それによって生まれた現場の「余白」が、ゆとりとして使われているのか、それとも別の作業で埋まってしまっているのか——そこから先は、ボクらの目の届かないところなんです。
そもそも、余白を「非」とする会社も多い
機械化の相談を受けるとき、必ず議題にあがるのが処理能力の話です。
機械化によって、現状よりかなり生産数を上げられる場合、当然その提案をします。 例えば、ブリスター包装機などの場合では、1個どりで処理するより2個どりで処理する方が、単純に処理数が2倍になるので、その提案をしたりします。
でも、多くの場合、こう言われます。「そこまでの生産数はいらないので、現状をベースに考えてください」と。
理由を聞くと、こういう答えが返ってくることが少なくありません。
「短時間で今の生産数を確保できるようになると、スタッフを遊ばせることになるから、それは避けたい」。
つまり、機械のポテンシャルとしては余白を生み出せるのに、その手前で「余白を作らない」という判断が、すでになされているんです。
これは、以前別の記事で書いた、現場のスタッフさんが省力化に対して抱く「自分の仕事がなくなるかもしれない」という恐怖と、実はよく似ています。
今度は、経営側に「スタッフを遊ばせるのは、良くないことだ」という感覚があるんです。同じ「余白への恐れ」が、立場を変えて出てきているように見えます。
機械が動くことと、余白が生まれることは、別の話
ここまでの3つの現場から見えてくることがあります。
機械がちゃんと動くかどうかと、現場に余白が生まれるかどうかは、実は別の問題だということです。
機械は動いていても、使われなくなる現場がある。 また、機械のおかげで楽になっても、それが余白になっているかはわからない現場もある。 そして、そもそも余白が生まれること自体を、避けようとする現場もある。
「時間が生み出すのは、ゆとり」——このサイトで、ずっとそう言い続けてきました。
でも、時間が空いたからといって、自動的にゆとりが生まれるわけではありませんし、ゆとりを「良いもの」だと感じてもらえるとも限らないんです。 ゆとりとは、結局、捉え方次第だもいえます。
働き方改革と人手不足、その間にある「時間の使い方」という空白
働き方改革が言われるようになって、もう随分経ちます。 一方で、人手不足の問題も、あちこちで聞くようになりました。
不思議に思うことがあります。
人手不足がこれだけ言われているのに、「時間の使い方」そのものに踏み込んだ話は意外と少ないんです。 お金の面はすごく言及されるんですけどね。
例えば、同じ作業内容の処理を、今までの倍の速さでできる機械があったとします。 単純に考えれば、今まで1日かかっていた作業が、半日で終わるということです。
そうなると、雇用の自由度が上がるのではないか、とボクは思っています。
これまでは、雇う側に都合のいい時間の使い方が基本で、採用条件を決められているのだと思います。 フルタイムで、決まった時間、決まった曜日。
でも、処理にかかる時間そのものが短くなるのであれば、働いてくれる人の事情に合わせた環境をつくることもできるはずです。 午前中だけ、午後のこの時間だけ——そういうピンポイントの対応ができれば、これまで働きたくても働けなかった人にも、チャンスができるのではないでしょうか?
人手不足への対応として、海外から人材を迎える、という選択肢もあると思います。 でも、その前に、もっと柔軟な仕組みを考える余地が、まだ残っているようにも感じるんです。
機械化・省力化は、単に作業を速くするための手段ではありません。働き方そのものを、もっと柔軟にするための、架け橋にもなり得るとボクは思っています。
「製造業だから、この時間帯に働かなければならない」という固定観念は、そろそろ手放していい時期に来ているんじゃないでしょうか。 むしろ、製造業だからこそ、新しい働き方のスタイルを考えていく時期なのだと思います。
機械化・自動化には、そのポテンシャルがあります。

浮いた時間を、何に使うかまで、一緒に考えたい
だからこそ、機械を導入する前の段階で、少しだけ考えておいてほしいことがあります。
浮いた時間を、何に使うつもりですか? そして、それは本当に「避けるべきこと」なんでしょうか?
「スタッフを遊ばせたくない」という心理の裏には、もう一つの前提が隠れていることがあります。
それは、「指示をしないと動かない」という環境だからこそ、手が空いた時間が「遊んでいる」ことになってしまうんです。 『言わなければ何もしない』という環境を生み出しているのは、もしかすると、経営者側なのかもしれません。
逆に言えば、スタッフさんが自分で考えて、自分で動ける環境であれば、話は変わってきます。
空いた時間は、次の工程を整えたり、改善点に気づいたり、新しいことを試したりする時間になり得ます。 「遊ばせる」ではなく、「考える余白を渡す」という発想に変わるんです。
そうなれば、ゆとりは、単なる手待ち時間ではなく、会社を活性化させるチャンスになります。
そのための場として、しつもん経営会議という取り組みも行っています。 スタッフさんが自ら考え、動けるようになるための対話の場です。 機械化・省力化と合わせて、気になる方はのぞいてみてください。
機械を入れることは、ゴールではありません。その先に何を置くか——そこまで一緒に考えるところから、始めませんか。
ここまで読んでくれてありがとうございます!
読んでみて、気になったことがあれば。
機械の話でも、現場の悩みでも、「こういうことって相談できますか?」くらいの温度感で大丈夫です。
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