こんちは。 時短設計®研究所、所長のけたろーです。
さて…
どうすれば、その要求を実現させることができるか?
先日、数十年前にリリースした装置のオーバーホールに行ってきました。
長きにわたって使って頂けるのは、ホントありがたいことです。ホンネを言えば、買い替えてほしいんだけども・・。 笑
機械創りという仕事をしていると、ホントいろんな要望や要求があります。 まぁ、対応不可能な苦手分野もあるので、全てにお応えできるというわけではないんですけどね。苦笑

この時対応させて頂いた装置も、そんな中の一台であって、ボク自身として〝我ながらいいアイデアだったな〟と思える一台でもあります。笑
どんな機械か? というと…
カートンに印字する装置。
そのクライエントさんでは、当時、シルクスクリーンの原理を応用した専用の印刷機を使って、箱に詰める内容物の情報を、その都度、カートン(※)の表面に印字するという作業をされていました。 (※カートン: 小箱のこと。)
予め、箱に印刷しておけば? と思われるかもですが、内容物の組み合わせが都度変るため、印刷してストックしておくことができないとのこと。
見せてもらった専用機はかなりの年期もので、老朽化で紙詰まりなどもよく発生していて、作業性が落ちているのでなんとかしたいという悩みを抱えられていました。
それに、印刷するには、その都度〝版〟を作る必要があって、それは、1枚だけ印刷するときでも、その1枚のために版をつくる必要があって、それがすごく手間に感じているのだと言われていました。 インクで汚れてしまうのも、気になってる点で、それに加え、印刷機を創ってくれた会社さんが既になくなっていて、この先のことを考えていきたいとも。
そんな感じのことからのご依頼でした。
メインのご要望は、〝カートンへ両面印字したい〟ということで、印字装置についてはレーザーマーカーを使うことが決まっていました。 レーザーであれば、広範囲に且つ、綺麗に印字することができます。 それに、インクで汚れることもありません。
打ち合わせをしていく中で、ご要望の内容は簡単に満たせそうでした。 しかし、そこには大きな課題がありました。
どうすれば、入る?
「レーザーマーカを使って、カートンの両面に印字がしたい」という要望だけを考えると、その答えは、たぶん、かなり簡単に出てくるのだと思います。
でも、この時悩ましかったのが、設置スペースと、そこへの搬入経路でした。 中でも、最大の課題が搬入経路だったんです。
悩ましい課題。
要望として、2階に設置したいとのこと。 でも、その言われているスペースは決して広くない限られたスペースで、且つ、「2階へ。」と言われるものの
どこから、どうやって2階まであげるの?
という感じでした。

そもそも、お客さんの工場はちょっと特殊で… 工場という様相ではなくて、3階建のビルのような感じです。
機械を入れるための専用のハッチ(搬入口)があるわけでもなく、かといって、大型のエレベータがあるわけでもありません。 2階の窓からの搬入を考えるには外壁の軒にテント部分があるので使えそうにありませんでした。
仮に、その窓から入れるにしても、窓自体が床面まであるような大きさではないため、腰壁(床面から窓までの高さ)に対応する必要があります。 テント部分を回避しながら、腰壁にも対応する… かなりハードな搬入作業になりえます。

実は、この案件の以前に、別のクライエントさんへの対応で窓から搬入した経験があって、その時は、腰壁の対応するために部屋側にやぐらを組んで、一旦、そのやぐらの上に装置を仮置きして、やぐらから降ろす… みたいな、ホント、おおがかりな作業だったんです。
そんな感じの作業になるため、当然、搬入に係る経費を考えても膨大になってしまう。 なので、それは避けたい旨、お伝えしました。
幸いなことに、□1mくらいのゴンドラがついたホイストクレーンがありましたので、それを使うことにしたんです。
搬入経路はクリア。 残りは…
□1mのゴンドラが使えることがわかったので、残りの課題は、そのゴンドラに載せれるサイズで装置を考える… ということでした。 1m以下のコンパクトな機体サイズで、両面に印字ができるようにする…
まぁまぁ、難易度の高い課題ですよね?
両面に対応する手段として、裏返すという方法もあります。
でも、裏返すにはそのギミック(動作)用のスペースがいります。 となると、設置スペースが必要以上に大きくなってしまうという懸念があり、この考え方は却下しました。
裏返すことなく、効率よく両面に印字するには、どうすればいいか?? この時、ボクが真っ先にイメージしたのが〝立てる〟ということでした。
カートンを立てれれば、両側からアプローチできるので同時に一気に印字することができます。 また、そうすることで装置もコンパクトになると思ったのでした。 なので、その方法がベストだと思えたのです。
〝立てて搬送する〟我ながら、ナイスな機構の動作がこれです。
1m以内という課題に対しては装置を分割するということで解決できて、コンパクトさは立てて搬送させるということで決着しました。 両面同時に印字できたことで、以前の印刷機よりも処理能力も格段にアップしました。
かれこれ、ン10年前の機体。オーバーホールで若返って、元気に活躍してくれてます。笑
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