〝時間に追われる〟生産現場から、【ゆとりを産み出す】生産現場へ。
時間に追われ、常に改善と効率化を求められる生産現場。
しかし、本当に大切なことって、〝ただ速く〟することだけでしょうか? 効率化の名のもとに、生産スピードだけを追い求めた挙句、そこに携わるスタッフさんが疲労、疲弊してしまうケースをたくさん見てきました。
『時短設計®研究所』 が目指すのは、単なる時間短縮ではありません。 私たちは、〝時短設計®〟 という独自のメソッドを通じて、生産現場に「ゆとり」をもたらすことを使命としています。

生産現場にとっての ゆとり とは?
ゆとり… という言葉を掲げると、ある経営者からすれば、

えーー?? ゆとりだって??
何をバカな! 仕事ってしんどいもんやし!
現場に楽させてどうするねん。 あほか!
とか、



おいおい! スタッフに『ゆとりを与える』… だって??
給与はらっとんねん!
スタッフにはみっちりきちんと働いてもらわんと困る。
遊ばしてどないすんねん!?
そんな風に思われる方もおられるようですよね。 また、これは聞いた話しなのですが、生産現場にゆとりを与えるという話題については
『会社として損失になる。』
という捉え方をされる経営者がかなりの率で存在していて、その理由は、『スタッフ=労働力』として捉えているから… とのことでした。 この傾向は、生産現場をもっている… いわゆる、製造業をされている経営者に多いと言われていました。
また、このことについては、給与への考え方にあるとのことでした。
スタッフが〝正社員〟である場合、経営者側からすれば、その社員に対して月額の給与を 先払い している… という考え方が成り立つそうなのです。
だから、彼らにゆとりを与えるということは、その時間分遊ばせることになって、先払いした給与が台無しになる… という理屈になる… とのことでした。
スタッフにゆとりを与えることは、会社として損?
概ね、「ゆとり」という言葉のニュアンスやイメージが、『スタッフを遊ばせ、無駄な時間を過ごさせることだ』などという風な捉え方をさせてしまうのかなと思います。
そもそも、会社からすれば社員に支払う給与とは、『人件費』ですよね。 つまり、固定費です。
例えば、ある社員に対して月30万の給与を払っているとします。 会社(経営者)側は、彼に対して毎月30万の固定費がかかっているということであって、会社が彼に望んでいることは、その30万に対しての対価=働き(成果)を期待している… というわけです… よね?
仮に、作業効率が良くなって1日当たり2時間分の短縮ができたとして、これをベースに『先払い』の意味合いを考えてみます。
月の労働日数を20日と仮定すると、『2時間x20日=40時間』分の時間が短縮できるというわけです。 1日8時間労働とすれば、
40時間/8時間(1日当たりの労働時間)=5日間
つまり、40時間とは5日分に相当するというわけです。 5日分とは、おおよそ1週間分です。
恐らく、ここで生じてくるのが、
彼に〝月給〟として30万払っているという内の〝1週間分〟がどうなるんだ?? 払い損してるんじゃない?
という理屈です。
結局、その会社(経営者側)の思考・考えでは、給与分(以上)の働きで、会社へ貢献しろ(しなさい)という論法が成り立っているわけですから、〝1週間分の余り時間〟ということは受け入れがたい… ということになります。
この考え方をベースにすれば、社員へ〝ゆとり〟を与えることは、会社から見て、給与分の働きが満足されないので『否(賛同できない)』という理屈が成り立ちます。
また、別の云い方をすれば、時間的に1週間分も余るんだったら、〝会社として1週間分の無駄な給与を支払っている…〟 という考え方も成り立ちます。
付け加えると、1週間分というのは〝社員1人につき〟ということであって、その人数が多くなれば、『1週間分のコスト(人件費)x人数』ということですから無駄な固定費をたくさん支払っている… という感情が湧いてくるということですよね?


なので、1週間分もの労働時間が浮くのなら、その分、各人の給与を下げるのが妥当ではないのか? という理屈も生まれてきます。 だから、スタッフにゆとりを与えるような施策(設備投資など)はいらない… という判断がうまれてしまうようです。
でも、ゆとりとは、決して『怠慢な時間』を与えることではないのです。
どうなっていたら、自分たちの生産現場が〝最幸〟になるだろう?
ゆとり とは、短縮した時間そのものであると同時に、精神的な〝豊かさ〟でもあります。 とすれば、そのゆとりをどのように活用させるか? ということが、一種の経営者側の〝手腕〟なのだと思えます。 偉そうなことを言うつもりはありませんが… 社員を単なる労働力として捉えていると、たぶん、次のステップは期待できないのだと思います。
我々が考える「ゆとり」とは、決して社員やスタッフを遊ばせることではありません。 私たちが定義する「ゆとり」とは、以下の3つを指しています。
- 1.未来への投資時間。
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日々の業務に追われることなく、新しい技術の習得、品質改善の検討、新製品の開発、そして社員教育など、将来の成長に繋がる活動に時間を充てられる状態を生みだせること。
- 2.創造性を育む時間。
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業務の効率化・時短化によって生まれた時間で、現状の課題解決や業務改善のためのアイデアを出し合ったり、部門間の連携を深めたりするなど、より良い生産体制を築くための考察や議論に使える時間となること。
- 3.心身の健康を保つ時間。
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過度な残業やストレスから解放され、社員ひとりひとりが心身ともに健康な状態を保ち、集中力やモチベーションを高く維持できるための時間となること。
複雑な工程をシンプルに再構築し、無駄を見直すことで、生産性は飛躍的に向上します。 また、それだけでなく、これまで時間的制約で難しかった「人の育成」や「新たな価値創造」への投資が可能になります。
私たちは、あなたの生産現場が、時間に追われるだけの場所ではなく、働く人々が創造性を発揮し、笑顔で働ける場所へと変革していくお手伝いをします。
ゆとりが生まれることで、品質向上、コスト削減、そして従業員満足度向上といった好循環が生まれるのです。
パート・アルバイトさんにも! 働きやすい環境を。
もしかすると、〝ゆとり〟についての考え方は、正社員のスタッフに対してよりもパート・アルバイトに対しての方がわかりやすいのかもしれません。
パート・アルバイトに対してへは『時間で雇用』しているわけですから、正社員に対する思考よりも、もう少し柔軟に捉えることができると思います。
そもそも、パート・アルバイトの働き方の『根っこの部分』を考えると、それは〝働き方そのもの〟にあります。
拘束されることなく、自分の都合が利く時間帯に自由に働きたい… フルタイムで働くのは難しいので、空いた時間で働きたい時間だけ働きたい… という想いがあるから、パート・アルバイトという働き方を選択するのだと思います。 休暇の融通が利く会社の方が働きやすいという傾向にあるのも事実なようです。
パート・アルバイトの離職率が高い会社の状況を鑑みれば、会社側の都合を押しつけるような職場環境であることが言えそうです。
これを改善するために、例えば、今まで8時間かかっていた生産数を6時間でも可能とするなら、この短縮できた2時間は〝保険〟のような役割になるはずです。 つまり、その2時間のお陰でユニークなシフト体制ができるというわけです。
つまり、ゆとりが生まれ、労働時間が短縮できるのであれば、彼らへの接し方の変わってくるのだと考えられるのです。
会社側としては2時間のゆとりのお陰で計画している生産数を短時間で処理できるとすれば、パートさんが突発的な事がらで休まざるを得ない状況であっても、臨機応変な対応ができます。
パート・アルバイトの定着を考えると、そういった事がらも加味していくのがベターかなと思うのです。 まぁ、考え方次第ですけどね。
ゆとりを生み出すために…
では、スタッフさんたちにゆとりを与えるためにどうすればいいでしょうか?
と思われる方がほとんどなような印象を受けます。 でも、それは違うんです。
機械や道具を導入することで作業が楽にはなります。 でも、ただ闇雲に導入してしまうと、かえって〝しんどさ〟が増してしまうのです。 なぜなら、機械や道具は単なるツールでしかなく、言わば『手段』だからです。
目的は、あくまで〝ゆとり〟を感じてもらうこと。
〝機械や道具を導入さえすれば解決できる〟という考えで臨むと、作業環境がちょっと誤った方向に進んでしまう可能性があります。 大切なのは「ゆとりを生み出す」という目的を理解した上で、ご自身の生産現場にとって、今、何が一番必要なのか? を見極めることです。
それを考えていくことこそが、ご自身の生産現場にとっての〝ゴール〟であり、【真の目的】になるはずなのです。
ゆとりを生む〝働き方改革〟の先にあるコト。
利益を伴わせた生産活動を継続していくにあたって、〝生産の効率化を図る〟ということが大前提にあります。
しかし、如何に効率化が図れたとしても、それが慌ただしさの中にある効率化だとしたら、どうでしょうか? 生産現場の中で、スタッフたちは疲労・疲弊してしまいます。 それでは、効率化とは言えません。
その先を見据える。
大事なことは、生産現場に〝ゆとり〟を与えながら、且つ、品質を担保して、
如何に最幸のパフォーマンスで効率よく作業できるような環境を提供するか?
ということなのです。 そしてさらには、〝ゆとり=スペアな時間〟を、
もっと【文化的・創造的・知的】に活かすこと。
それが最大の狙いです。
〝文化的・創造的・知的に活かすこと〟 とは、先に挙げた3つ…
1.未来への時間 2.創造性を育む時間 3.心身の健康を保つ時間
のことであり、これらはたとえば、
_そういうことです。 この時のキーワードは、
〝ムリなく、ムダなく、気持ちよく!〟。
日々の仕事の時間に追われ、何をするゆとりもなく、汲々とした中で過ごしていたのでは、新しい発想どころか自身の生活や人生そのものですら、危うくなってしまいますよね? そういった職場環境って、どうでしょうか?
生産性があがるどころか、かえって悪化してしまうはずです。 最悪、かけがえのない有能な人材が離職してしまう…
逆に、ゆとりを得ることで、家族やパートナーとの関係を円満にするための時間が生まれ、そして、それは精神的なよりどころとなります。 また、普段の仕事とは異なる視点がもてるような余裕が生まれることで、新たな発想を生みだすことにつながり、もっともっと仕事が充足し、楽しくなっていく! まさに、プラスのスパイラル!
つまり、個人としての成長や充足した人生、また、会社としての利益につながっていくのです。
生産現場を善くすることの真の目的は、そんな現場を創っていくことなのだと考えています。 それこそが時短設計®なのです。
…. そして、もうひとつ大切なコトを発見しました。 もしかすると、これが一番重要なポイントかもしれません。
会社の成長を妨げるもの。
それは…
なんだかんだ言っても、社員や、パート・アルバイトのスタッフの側からみてみれば、全ては自分たちが所属している〝会社としての在り方〟に依存しているということです。 どういうことかというと…
スタッフが働きやすい環境とは?
スタッフがどれだけ、『あ~したい』『こ~したい』と望んだとしても、それを経営者側が〝否〟とすれば何も変わりません。 なぜかと言えば、会社の意思決定は、統率者… 即ち、経営者が決めるからです。
もっとも、大企業になれば所属の上司が決めるということもあるでしょうけど、概ね、会社としての方向性は経営者が決めていきます。 なので、経営者側でそういったことへの思慮や配慮がない場合には、何も変わらないという事態がおきます。
その場合、2つのことが起きてしまう可能性があります。
まず1つが、『有能なスタッフが去っていく。』ということと、2つ目が、『会社成長の鈍化』です。
過去… クライエントさんのところで起きた出来事だったのですが、社員スタッフさんが離職していく光景を目の当たりにしたことがあります。
辞めていった彼は、傍目に、いわゆる〝改革派〟でした。 現状の作業環境に危機感を感じた彼は、『あ~すれば』『こ~すれば』と会社に進言したのです。 ボクも、彼からの相談にのっていたこともあり、実現すれば作業効率もあがり、無駄も減り、得意先(下請け)各社も含めてハッピーになれそうな内容だったのですが…
残念ながら、トップの考えはその案を〝是〟としなかったのです。
今できてるんだから、それでいい。 余計なことをするな。
当然、その彼からすれば、仕事が面白くなっていくはずもなく、自分がここに居続けても、自分の成長ができなくなってしまう… という危機感から離職を決断されたのでした。
言い方が悪いのかもしれませんが、裏を返せば、現状維持な思考を持つメンバーが残るというわけですから、会社の成長は鈍化してしまいます。 会社が彼らに望んでいることは〝言われたことだけをやれ〟であって、また、社員からすれば、『余計なことをせず、給与だけもらってればいいや』みたいな雰囲気で会社が回っていくことになるということです。
とはいうものの… 。
どのように適応していくか?
社会的な構造とか、思想、考え方、風潮などということは、年々、着実に変わってきていることは確かです。
会社をとりまく環境自体が刻々とかわっていくという中にあって、経営者側の思想や考え方が変わらないということは、即ち、『ゆでガエル』的な状態になってしまうのは、否めないです。


でも、変わるか、変らないか? は、個人の考え方次第なところでもあるので、いろんな考え方があっていいと思います。 ただ、大切なことは『枠組みを捨てて』、今一度考えてみることだと思うのです。
過去のやり方や考え方に疑問をもつことなく、それが『フツウで、常識』だと思い込み、そこに縛られてしまうと、何の進展も、進歩も、発展もありません。
枠組みを外して、自由な視点や発想で考えてみることで、そこには全く思いもつかなかった大きな答えが眠っています。
どうすれば、うまくいくだろう?
そんなことを自分自身に問いながら、いったん、全ての考え方を受け止めてみて、その上でベストをチョイスしてみる。そこに新しい解決の糸口が転がっているはずです。
時短設計®とは、つまり、
視点を変え、枠組みを変えて発想し、
その現場でのよりよい解(方向)に結び付ける・・
ということです。
感謝。
時短設計®研究所
※ 〝時短設計〟は登録商標です。