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作業の現場では、機械の〝怖さ〟を知っておくことも大切。

こんちは。 時短設計®研究所、所長のけたろーです。 

さて…

目次

〝怖さ〟を知っておくこと。

ご多分に漏れず、デジタル化の波は、ボクらの様な工場での作業現場にも当然、押し寄せているわけでして…。 一昔前の加工スタイルからは、ものすごく変わってきています。

卒業して、30余年。 学生時代に学んだことは、もうずいぶんと前に過去の産物… になってしまった感がします。 もっとも、基礎とか基本なところは、当時から変わってないんですけどね。

いわゆる、手作業が主体の「汎用機」が主流だったのが、今や、NC制御が当然になっていて、CAD・CAM(※) でさえ、当たり前になってきてます。 ※CAD・CAMとは、CADで描いた図面データをそのまま加工機械用のデータに置き換えて、加工させるというデータを連携した加工のこと。

余談ですが… ボクの学生時代でも、NC制御な機械を使った実習をしたことがあります。 が、当時は、今のように、画面操作でピッピっ というのではなく、パンチングテープと言われるテープに穴をあけて、それを機械にセットして… という代物でした…。

拾い物の画像。

データさえ準備しておけば、材料を機械にセットして〝スイッチON〟で、全自動で全部加工してくれる。 

それに加えて、今や3次元が主流になってきているので、例えば、3DCADなどを使えば、画面上で加工のシミュレーションとか、動作のシミュレーションも簡単にできるようになっています。

ほんの数十年前までは、汎用機で、且つ、手加工に近い処理で、ほぼ職人の領域だった仕事が、今や、予備知識もそれほど必要もなく〝誰でも〟できるようになった感は否めないです。 

たかだか数十年でこれだけ進歩するって、ホントすごいですよね。

汎用機の時代では。

汎用機って、手作業がメインになるので安全カバーなどがないんです。 

なので、汎用機が大半を占めていた頃では、機械を操作する上での怖さは、その身を持って経験できる場でもあったし、職人と言われるレベルの人ほど、如何に安全に機械を扱うか? を熟知していたようにも思えます。 

逆に、デジタル化が進んだ今の時代では、機械にはばっちり安全対策がなされていて、且つ、誰にでも扱えるようになって便利になる一方で、ちょっとした〝弊害〟も招いているようです。 

簡単に扱えるがゆえに、大した教育をすることもなく、不用意に作業現場に人を投与できるようになったということで、機械の〝怖さ〟や〝危なさ〟といった本質的な面が蔑ろにされつつあるということ… です。

クルマの場合には…

ところで、話は変わりますが、クルマの免許はお持ちですか? 

クルマの場合では、教習所で免許を取るときや、免許更新の際などには、必ず〝事故〟についての教育があると思います。

追突とか、わき見運転の事故とか、スピードによるものとか、飲酒によるものとか、クルマの整備不良による事故とか…ケースに応じて、様々な事例で解説してくれますよね。 教習所や免許更新の際には、クルマの運転は楽しい反面、『使い方を間違えれば危ないよ』という〝教え〟や〝戒め〟を知識として与えてくれます。

クルマの場合では、何をすれば危ないのか? をきちんと教えてもらうことができるということです。 一方で、加工機のような機械を扱う現場ではどうでしょうか?  

恐らく、そこまで教えている工場は少ないのではないでしょうか? 

確かに、最近の最新と言われる機械であれば、安全対策もばっちりなされてて、マニュアル通りのことさえすれば、ほぼ、危険な目にはあいません。(^_^;) 

でも、逆に言えば、それゆえに〝怖さ〟が薄らいでいるということも言えると思うのです。 怖さや危なさを知らないということは、作業者が〝無防備〟であるとも言えます。 何も知らずに、何気なく使っていると思いがけない事故が待ち構えています。 

そういった意味でも知識が必要ですよね。 機械を使った加工作業での大事なポイントを少しお伝えしたいと思います。

が、そんなボクも教育のようにみっちり具体的な危険性を教わったわけではないです。 

『気を付けて使えよ』と言われながら、何の気なしに使っていて、機械を操作していく中で、あるハプニングが起こって自分の身を持って体感したという面と、起きた事故の様子を人づてに聞いて、その話の中で教訓めいたことを教わったと言う感じです。 

巻き込まれ危険。

概ね、工作機械というのは「回転する動作」が多いということが特徴として挙げられます。 だからこそ、「軍手をはめて」作業するのは最大の禁忌になるんです。 ボール盤や旋盤、フライス盤などといった汎用機を扱う場合には、特に注意が必要です。 

材料で手を傷める可能性があるので、むしろ、軍手の方が安全では? と思われるかもしれませんよね。 でも、それが返って危険を招いてしまうのです。 なんでか?

軍手をよく見てみてください。 繊維の毛羽立ちが見て取れるはずです。 この毛羽立ちが、危険なのです。 軍手をはめて作業をすると、その毛羽立ちが回転している刃物や材料に巻き込み、大参事につながる可能性があります。

なので、素手で作業をするのが原則です。

事故は一瞬。

当たり前のことなのですが、動力を使っている機械は自分が思っている以上に、ものすごいパワーで回っています。 巻き込まれたら最後、一瞬で指や腕が機械にもっていかれてしまうのです。 

最悪は、指や腕を飛ばしてしまう結果を招きます。 大汗

小さな機械であれば、指や腕くらいで済むのかもしれません。 でも、それが巨大な機械ともなれば… 

鉄工所のような仕事をしてると〝あるある話〟のように聞かされる話があります。 これは、そんな話なのですが… 

とある工場での話し。

ある会社で、大きなラジアルボール盤(※イメージは画像参照)で作業されてた方がいたそうです。 その当時、工場ではその方だけが、ひとりで作業をされていたそうです。 

翌朝、別の社員さんが工場に来られたら、なにやら音がするのを聞いたらしいのです。 気になったその社員さんが、音のする方へ向かうと… ぐるんグルンと、機械に巻き込まれて、人が回っていたのを発見したそうです。 むろん、死亡された状態で… どうやら、作業中に、何かの拍子で機械に巻き込まれてしまったらしいです。 

とかね… 怖い話ですよね。(´Д`ι)アセアセ 

第一発見者だった人は、ものすごく恐怖を感じたと思います。 ラジアルボール盤って、こんな感じです。 巻き込まれて人が回ってしまうということは、うちのより、もっとずっと大型の機械です。

参考: うちにある小型の【ラジアルボール盤】。 これでも、巻き込まれたら、かなり危険です。

ラジアルボール盤の他には、旋盤(※画像参照)でも同じような話をきいたことがあります。 旋盤の場合は、横回転なので巻き込まれるとたいへんです。 

うちにある旋盤です。 かれこれ、50年になろうかという骨董品。

巻き込みは、ボクも…

実は、ボクも巻き込み事故を経験してます。

その昔、フライス盤での作業で、不用意に手を出してしまって巻き込まれ、小指を数針縫うような事故をやらかしたことがあります。 自分でもわからないのですが、どういうわけか、『ふぅ~っ』と手が出てしまったんですよね。 

その時は、軍手してました… 

手が出てしまったというか、出してしまったと言う感じです。 魔が差したというのは、その事だと思うんですけど、今から思うと、ホント、アホでした。 

ちょうど、土曜日だったと記憶してます。 ホルソーという刃物をつかって穴あけの作業をしてる時でした。 ホルソーっていうのは、これです。 鋸刃を円筒形にしたもので、軍手の毛羽が巻き込まれやすいという…

拝借しました。

右手をやってしまったのだけど、やった瞬間、とっさにボクは近くにあったウェスでキズ口を巻き付けて、左手でギュッと押さえて、親父がいたので、『えらいこっちゃ! やってもうた!』と、親父に話して…。 近くの病院に連れて行ってもらったのを覚えてます。 医者曰く、もう少しで腱が切れてたとのこと。 滝汗

巻き込みは、〝あ〟も〝う〟も言う間がないくらい一瞬の出来事で、気が付いたら、【うぅ】って感じです。 まさに、後悔先に立たず! でした。 みなさんも、気を付けてくださいね。

あと、巻き込みに関して言えば、軍手の他に アレ も危険です。

髪の長い人は要注意!

ボール盤(※)を使う場合に注意したいことがもう一つあって… それは、『髪の毛』です。 

髪の毛が巻き込まれるという話題なのですが、それについては、鉄工所での作業では〝あるある〟なんですよね。 

髪の毛が巻き込まれてしまうと、頭皮まで持って行かれる場合もあって、最悪は髪の毛が生えない状態になってしまうような大惨事になってしまいます。 

ボール盤の作業では、穴あけ時に部材からでてくるキリコが巻き込みの原因になるんです。  

うちにある汎用ボール盤。一般的によく使われる工作機械がボール盤かもしれません。

特に、女性とか、髪の毛の長い人が作業する場合は細心の注意が必要です。 帽子をかぶるなり、髪の毛をくくるなど、安全対策は必ず行うようにしてください。 起こってしまうとシャレにならないので。 滝汗

これ、ホントによく聞く話なので、注意してくださいね。

あと、加工する材料はバイスなどを使ってしっかり固定するということも大切なコトです。 穴あけ時にはかなりのトルク(回転力)がかかっています。 また、材料によっては、ドリルにかじり付いたりするんですよ。 手では抑えきれないので、指に大けがを負うとか… 

とにもかくにも、怪我や事故って、気の緩みや何気ないときに起きるので注意してほしいです。

その他、注意したいこと。

他にも注意すべきポイントがあります。 今からお伝えすることは、当然って言えば当然のことなのだけど、やってしまうんですよね… (汗)

機械動作中は、不用意に手を出さない。

機械を扱っているうえでの鉄則は、不用意に手を出さないこと。

でも、〝魔がさす〟ように、ふ~っと、吸い込まれるようにやってしまうんですよね。 ボクもそうでした。 (汗)

特に、キリコの除去などがそれです。 ボール盤の穴あけとか、旋盤作業とか、フライス盤のときとかでも、ふと、とりたくなって、手を出してしまうんですよね。 で、巻き込まれてしまう。(涙) 

小指をやってしまった時がそれでした。 (´Д`ι)アセアセ

安全柵(策)は外さない

作業をしていると、効率を追い求めて、時として安全性がないがしろにされてしまうのです。 せっかくの安全スイッチを殺して(無効)使うとか、安全カバーを外して使うなんてことがそれです。 

少々効率が落ちるかもしれませんが、安全スイッチや安全柵などはきちんと守って使うのが鉄則です。 怪我や事故をしてしまうと、それ以上の代償の方が大きいのです。

特に、プレス加工などがそうですよね。

指や腕、大型になれば身体をも落としかねないので、十分に注意してください。 こと、プレス加工屋さんでは、指飛ばしてナンボとも言われた時代もあったようなことを聞いたことがあります。 また、それとは逆の意味で、取引するなら指をみろ… なんてことも聞いたこともあります。  

ともあれ、安全であることに越したことはありません。 工場を運用していくに当たっては、ゼロ災(無事故で、災害ゼロ)を続けていくことが大事ですよね。 

スタッフに対して。

また、工場内では、スタッフさんに作業を任せていく上で大切なことがあります。

独りで作業をしない。させない。

個人事業で、1人でされているのなら仕方がないのかもしれません。 でも、スタッフに機械作業をさせる場合は、極力、目の届く範囲で仕事をしてもらうのが鉄則です。 定期的にお互いに声をかけあうということも必要になると思います。

お互いの目の届く範囲で作業をしていれば、〝もしも〟の際の発見が早くなります。 こと、残業になってしまうケースでは注意が必要です。 致し方なく、場内でひとりだけで作業をする場合、細心の注意を払いたいものです。

〝魔の時間〟に注意する。

作業をしていく中で〝魔の時間〟と言われている時間があります。 それは、集中力が途切れやすいタイミングのことです。 具体的には、〝昼休み前〟や〝休憩時間に入る前〟と、〝帰る間際〟の時間帯です。

さぁ、もうちょっとで昼ごはんだ!

とか、

もうすぐで今日の仕事も終わりや!

といったタイミングというのは、集中力を欠きやすいので、その時間帯が要注意なのです。 その時間って、不用意な事故が起きやすい時間帯でもあります。 実は、これも体験済だったりします。 ボクが直接じゃないんですけどね… 苦笑

帰る間際の作業。

これは、機械加工の話ではないのですが、帰る間際に〝溶接作業をしない〟というのもお伝えしておきますね。

親父から言われた話しなのですが… 火災のリスクを考えた時に、帰る間際の溶接作業は危険だと教わりました。 作業するなら、最低でも帰る30分前くらいにはやめるようにするのが無難だということです。

こと、溶接作業の場合、火花が飛ぶ場合があります。 飛び散った火花がどこぞでくすぶっていて、それが何かの拍子に引火して火災を引き起こしてしまう可能性があるから、帰る間際はやめておけ… と。


とまぁ、こんな感じです。

こういった事がらは、社員教育の一環として事前に伝えておくべき事柄だともいえます。 OJT(現場研修)をされているような会社なら、例えば、ボール盤作業で模擬的に軍手を絡ませてみるなど、そういった現象を起こして見せてみるとか… で、ある程度の怖さを伝えておくことが重要なるのだと思います。 

加工精度や、加工効率を追及することも大切だとは思いますが、それが〝不安全〟な上に成り立っているのであれば、考え物ですよね。 安全であることが一番ですよね。

社内教育としてレクチャーが必要なら、ボクでよければ研修の一環で話はできますよ。お気軽に。


ご相談やお問合せはお気軽にお願いします。

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けたろー。のアバター けたろー。 時短設計®士。

包装機械相談士。時短設計®士。 生産現場の【不】を解消するものづくりやってます! あなたの生産現場が、最高最善にハッピーになれますように。(*^-^) 人手不足や働き方改革が叫ばれている昨今。何かのきっかけになれば幸いです。

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